小児歯科
小児歯科について
歯科での小児(子供)と大人の治療で最大の違いは、子供は「成長する」ということです。
小児歯科の教科書に成長の定義は「成長とは、一般に大きさとか数とかを量的に測定できる過程をさす。たとえば、身長、体重、器官の細胞数の増加、あるいは大きさの増大を表す」と書かれてます。
(僕はそんなかっこいい言葉で説明できないので ここでは歯の「萌出」も「生える」と書きます。あしからず。)
1歳くらいで初めて歯が生え始め、1年生になる頃には前の乳歯が抜け、奥の方では6歳臼歯が生えてきます。
3、4年生になると乳歯の根の下から大人の歯(永久歯)が押してきて、あちこちの乳歯がグラグラになり生え変わって行きます。
歯の生え換わりと共に歯の周りの骨も成長して行くので、顔貌も子供らしい顔つきから大人へと変化して行きます。
中学生になった頃にはほぼ乳歯は抜けて大人の歯が生えそろいます。
(注:ここまでの内容 すべて個人差あり)
このように中学生になる頃までに、口の中の歯や骨が成長と共に変化して行くのは、大人にはない特徴です。
その特徴(成長)を知った上で、治療を考えなければならないのが小児歯科の大切なところです。
当院での小児歯科で最も多いケースは虫歯の治療です。
しかし、近年、お母さんの子供への歯磨きのしつけが行き届いているのか、虫歯の子は少ない傾向にあります。
すばらしいことだと思います。学校検診へ行っても「虫歯の子が少ない」ことをすごく感じます。
しかし子供の顔が小顔傾向なのか「歯並び かみ合わせ」が気になる子は多いです
→ 矯正を考えると良いです。
毎年5月頃になると、幼稚園、小学校、中学校、高校と学校検診へ行き、たくさんのお子さんを診る機会があります。
そこでたくさんのお子さんを幅広い年齢層で診させていただいているので、当院でお子さんを診るときに客観的にその子を診ることができます。
どうしても歯の治療となると、その子の歯ばかりに目が向いてしまいがちで、客観的に診るということは簡単なようで難しいです。
子供の歯、歯並び、かみ合わせは十人十色で、個性があって当たり前なので、その個性が正常なのか?正常からやや異なっているのかを正確に判断するには「客観的な目」がなければわかりません。
子供の治療で意外と多いのが、あえて治療しない、つまり「経過観察」です。
学校検診で「虫歯あり」の紙を持ってきた子を診ると、初期虫歯や乳歯の歯の溝が着色していて虫歯に見えるが、実際は虫歯ではないというケースもあり「経過観察」することになります。
(学校の検診は人間がやることなので、僕らも含めて完全には判定できないことはあります。)
あと1カ月後には抜けそうなグラグラになった乳歯なども、ケースによっては経過観察し、きちんと下から永久歯が生えてくる方に気を配ります。
そのような乳歯に大人と同じような根の治療をしてしまうと、永久歯が生えにくくなることがあります。
永久歯のことを考えて経過観察が良いということは多いです。
生え換わりの頃、同じところに歯が2本あって(乳歯と永久歯)心配されるお母さんも多いですね。
まずは歯医者さんへ行って診てもらえば良いと思います。
子供が歯医者さんへ行くのは勇気がいることです。お母さんも歯医者さんへ連れて行くまで一苦労ということもあるでしょう。
「歯医者へ行く→歯を削る、注射される」
という恐怖、不安が頭の中で先行しがちなのは大人も子供もみんな一緒です。
「不安」という感情が小さい子供ほど大きいということです。
小さい子が怖かったら大声で泣くのは当たり前で、元気があっていいですね。「元気」があれば何でもできます。
まずはちゃんとユニット(歯医者さんのイス)に座れたら上出来です。
好きなポケモンの話でもしながら どの歯が虫歯なのか一緒に探してみましょう。
歯列、咬合を乱す原因(小児)
写真は共に小学生低学年の歯の写真です。 写真を撮り初めて気づくことがあります。学校などの健診では目でみるだけで目で見えない場所は見れません。 目でみて正常と診断しても、写真を撮って見えないところに異常があることに気づくことは大切です。
先天性欠如
乳歯の下からはえてくるはずの大人の歯がない
↓
写真の↑の所に普通であれば永久歯(5ばん)が写っている。
↓
先天性欠如と言います。
この写真だと乳歯(E)の下に永久歯(5)がないということがわかります。
乳歯の下に永久歯がないと乳歯はそのまま抜けずに存在したままとなります。
→将来的に歯列や咬合を乱す原因となるので現在歯の矯正治療中。
歯牙腫
主訴は上の歯の一部破折でしたが、あえてパノラマ写真も撮影。
すると下の歯に歯牙腫があることを確認。
写真の↑の部分が歯牙腫(良性なものなので心配はないです)
この小さい歯の塊により乳歯がまだ抜けない
歯牙腫の下にある永久歯の萌出がしづらい原因となっている。
→正常に乳歯が抜け、永久歯が萌出できるようにするために
この小さな歯の塊(歯牙腫)は外科的に摘出した方がよい。
小学生低学年まだ歯はほとんど乳歯の時期でも写真を撮ってみることで将来的に永久歯の歯並びやかみ合わせに問題が起きてしまう原因がわかればその原因を取り除き、将来的なことを見越して改善していくことこそ「予防」と言えるのではないかと僕は思うのです。
矯正について
当院では矯正は矯正の専門医を紹介しております。
矯正した方が良いと思われる子は矯正した方がよい理由を説明いたします。
虫歯の治療はしなくて大丈夫だったけど、歯科検診で「歯並び」「かみ合わせ」などに○がついたお子さんは、一度相談に来てみるとよろしいかと思います。
特に相談料とかはいただいておりません。